Another Novel
□pluie 〜fantoccini〜 1
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「え?!もう帰っちゃうんスか?ザインさん!」
パタパタと走ってきてユーリの隣りに並んだアッシュは、折角珈琲を淹れたのにと残念そうな表情を浮かべた。
だから、帰るっつってんだろが。
人のこと恨めしく見るな。
「悪ぃな。もう帰る」
それに、そろそろアイツが……
「アレ〜?もう帰っちゃうのかイ?
折角アッシュクンがコーヒー淹れてくれたノニ〜」
ほら、出やがった。
1番うぜぇ奴が。
背を向けようとした視界に突如姿を現したアイツ。
紺碧の髪に薄水色の肌。
怪我があるわけでもないのに包帯を体中に巻き、左目にも包帯を巻いているのは、オレの元となるオリジナル…スマイルだ。
楽しそうにニヤニヤと笑いやがって…マジうぜぇ。
「……今すぐ帰る」
「ゆっくりしていけば〜?ぼくはユーリとラブラブしてるカラ〜★お構いなくー」
「…何故そうなる」
「え?ユーリ、嫌?」
「い や だ」
ユーリに抱き付いて楽しそうに戯れている奴を遠巻きに眺め、溜息を吐く。
マジうぜぇな。勝手にイチャついてろっつの。
つーか、んな見せ付けなくたって、オレはラスみたくソイツを取る気はさらさらねぇっつの。
はぁ。と、もう一度溜息を吐いて踵を返そうとしたら、不意に人狼に名を呼ばれた。
まだ用あんのかよ。
そう睨めば、アッシュは一瞬怯んでから口を開いた。
「前から気になってたんですけど、ルリさんとはどういった経緯で知り合ったんです?」
至極、明るく。
人懐っこい笑みで問われた。