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□Merry White Day
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「ネっ、ユーリ。今日は何の日かわかる?」
なぁんて訊いてみたって、返ってくるのは決まって。
「知らん」
の、一言で。
ぼくは一気に肩を落としてしまう。
まぁ、わかってはいましたがね…。
●Merry White Day●
話したかったことがあったにはあったのだが、ユーリに何とも言えない返事を頂戴して言おうとしたことが飛んでしまった。
彼のはっきりとした返答に苦笑いしか浮かばない。
即答した彼はと言うと、音楽雑誌に眼を通すばかりで。
雑誌相手に妬くヨ?なんて言ってみたところで相手にして貰えないことぐらい重々承知しているので、言わないでおく。
相変わらずユーリは最近デビューしたばかりだというアーティストの頁に熱い眼差しを送っていて。
「ホントに妬くヨ…?」
実際はもう既に妬いているのだけど…。
うまく聞き取れなかったらしい彼は何?と問うてきた。
「何でも」
頬を膨らませ、そっぽを向いてやった。
これで少しはぼくのことを気に掛けてくれるかなぁ、なんて思ってユーリをちらと横目で伺うと、彼は案の定雑誌に視線を落とすばかりだった。
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