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□Full Moon
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紅く、丸い丸い月が昇る
紅く揺らめく月影が世界を照らす
ピチャッと、歩けば足に絡み付く、赤い赤い液体
眼下に広がる、無数の動かぬ肉の塊達
己の血に染まった手を見詰める
ただ、何も考えられず、見詰める
自分の掌越しに、小さな肉の塊が動いた
それの最後の抵抗の声が聞こえたと思った刹那、
再び自分はもう一人の自分によって意識を手放してしまった
薄れ行く意識の中で、俺は小さな子供の泣き声を耳にした気がした……
頭が、痛い
くだけそうな、くらいに――…
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