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□似た者同士
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同じ、ニオイがした。
「――…ん?」
「……ンん?」
そう、ぼく達は、おんなじニオイがしたんだ。
だって、本当に、
『同じ』だったから。
似た者同士
ぼくはスマイル。
透明人間。
この名前は、ぼくの大切な友達の吸血鬼――ユーリが付けてくれた名前なんだ。
すごく気に入っているよ。
だって、ユーリがぼくを想って付けてくれた名前なんだからね。
あれはもう何十年前の話になってしまうんだろうねぇ。
思い出しただけで嬉しくて、自然と笑みが零れてしまう。
ぼくはあの時、彼に名前を貰って数日が経った後、彼の元から発った。
最初から根無し草のようにメルヘン王国中を放浪していようと思っていたわけだから、あのあとも特に宛なんてものはなく。
だけど本当は、
その1番の目的は沢山の土地を歩き、見て、感じて、そんな様子を城にいるあの子に聞かせてあげたい。
そう思ったからこそ、彼の元を発ったのかもしれない。
だから何十年か経って、ぼくはまたこうしてこの城へ戻ってきたんだろうから。
「――スマイルっ?」
「やぁ、久し振り」
ふらりと城の近くへ来れば、たまたま城の外へ出ていたユーリと遭遇した。
よかった。
城の中へ忍び込む手間が省けた。
と言うのも、ぼく……透明人間を彼の父親はよく思っていないようなんだよね。
理由なんて知らないけれど。
だからぼくは、以前は結構危険を犯してユーリと会っていたんだ。
(ああいうのって楽しいからぼくは困らないけど、バレてユーリが怒られてしまうのは嫌だからねぇ…)
だからタイミングよく城の外へ1人で出ていたユーリを見つけて、ぼくは嬉しくて無意識のうちに笑みを零してしまった。
でも、そう思ったのはぼくだけではないらしく、ユーリも満面の笑みを浮かべながらぼくの方へ駆けてきてくれた。