□雨フリ、傘ヒトツ
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 最初は、ポツリと。


 だけどそれは次第に量を増していき、
 数分も経たないうちに雨はとうとう本降りとなってしまった。





(ぁー……失敗した…)





 誰だよ、今日の降水確率は夜まで10%だって言ったの。

 昨夜見た時は10%だったのに、今携帯で調べたら降水確率は80%に変わっていた。



 ………ちょっ、……ヒドくない?
 これは変わりすぎだから…!


 やられた。
 こんなことなら、城を出る前にちゃんとニュースとか確認しとくべきだったな。
 なんて、今更後悔したって既に遅くて。

 ぼくは恨めしく、どんよりと暗く曇った空を仰いだ。




(降りスギー…)




 雨脚が強まって、咄嗟に逃げ込んだ店の軒下では、ぼくの他に2、3人の人が足止めを喰らっている。

 まぁ、今朝はまだ白く曇っていたぐらいで、降りそうな気配はなかったからね。
 だから、まさかこんな土砂降りになろうとは、多分ここにいる人達も思わなかった訳で…。




(……せめて、もう少し弱まってくれたら考えるのに…)




 けれど生憎、いっそ気持ちがいいくらいの降りっぷり。


 残念ながら、走って帰るには少し遠い家路。
 だから、潔く濡れて帰るには大分勇気がいる。




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