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□miss you
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静かな部屋。
何にも音がない部屋。
強いて言えば、あるのはカチコチと時を刻む時計の音くらい。
だけど、聞き慣れたその音はないに等しく、やはり静寂で耳鳴りがしそう。
そんな中、たった独りでぼくはベッドの上でボーっとしていて。
何となしに、縫いぐるみを抱き締めていた。
頭の片隅では「あ、結構抱き心地イイかも…」なんて思いながらも、なんだか物足りない。
ファンから貰った、自分じゃ決して買いそうもない縫いぐるみ。
最初はユーリ宛のものと間違えられたのかと思ったけれど、添えられていた手紙は何度読み返してもぼく宛のもので。
(ユーリとアッシュ君にからかわれた。
まぁ、アッシュ君にはちゃんとお返ししたけど)
つか、ぼくってこういうの好きそうに見えるのかなぁ?
前にもあったし。
(その時はメンバー全員宛だったけど…)
どうせならギャンブラーZがよかった…。
折角ファンの子がぼくを想ってくれたのだからと無下にもできず、でもやっぱり置き場所に困り。
結局今の今までこの縫いぐるみは部屋の片隅で紙袋の中に収まっていたのだ。
でも、何となくさっき取り出し、抱き締めてみたら。
これがまた案外抱き心地がいい。
肌触りもいいし。
そのままそれを抱いていたら自分の体温が移って、ちょっとあったかくなった。
でも、それとは裏腹にぼくの体は冷えている。
(……窓、開けっぱだもんなぁ…)
そう思いつつも、体は動かない。
面倒と言うより、動く気がないですから。