□銀世界の下には
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 ザクッ……… ザクッ……






 歩く度に、少し鈍い音が足元から聞こえる。


 その音は不快ではない。
 寧ろ、その音を発てながら歩くことも、そうして踏み締めて行くこともなかなかに面白い。


 思った以上に、沈む足。

 何となく、微かに重さが増していく脚。



 そうして今し方、自分の歩いてきた後ろを振り返れば、点々と続いていく自分の足跡。

 真っ白な大地に、自分が描いてきたその線。



 その離れた処には、木の辺りをうろつき、茂みの中へ消えていった小さな足跡の線。

 雪を掻き分けた跡と、小さな点と少し長めの足跡が間隔を空けて続いていく線。

 そして、それを追い掛けるように少し大きめの足跡がその線をなぞっていっていて。


 他にも探せば幾つかの足跡の線が、この真っ白な銀世界の上に拡がっていた。




 溜息のように、白く濁った息を吐き出す。

 しかし、肺から出された息は直ぐさま外気に冷やされ、同化し、姿を消していった。



 眼前の世界を惜しみながらももう一度前へ向き直し、歩き出す。





 ザクッ……… ザクッ……





 静かに小鳥の囀りが聞こえる中、辺りに反響する雪を踏む音。




 ザクッ……




 一歩踏み出せば、微かに沈む足。




 ザクッ……




 一歩踏み出しても、変わらない銀世界。




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