□Bird
1ページ/11ページ



 たとえ、離れ離れになってしまったとしても、必ず会いに行くから。






「鳥はイイなぁー」

「………何故?」






 たとえ、この身に何が起きていようとも。






「だって、翼があるじゃない」






 たとえ、どんなに離れていようとも。



 君が、


 貴方が、



 たとえ何処にいようとも。






「どんなに遠く離れていても、君の許へ行ける」






 必ず、逢いに行くよ。




 だって、



 君の、貴方の許こそが、


 自分の居るべき、



 還るべき場所なのだから。










Bird










「君って、いつもそうだよね」




 普段は優しく細められる眼が、今は軽蔑を込めたように冷たく細められている。




「……何がだ」




 それを痛く感じているはずなのに、そう気付く前に口が勝手に言葉を紡ぐ。


 自分の気持ちに気付けないくらい、何かが壊れていた。





「君はいつも、人のことを邪険にしているってことさ」





 外で洗濯物を乾していたアッシュが、私たちの静かに、けれど明らかに険悪な雰囲気の中言い争う声を聞き付け、城の中へと戻ってきた。

 だが、彼は口を挟むことができず、ただ心配そうにこちらを頻りに窺っている。


 私の周りでは蝙蝠たちが心配そうに集い、黒猫のテッドも私とスマイルを交互に見上げていた。


 けれど、私たちはそれらには全く気が行かず、目を細め、互いを睨んだままだった。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ