The Mortal Sin

□The Mortal Sin 12
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 ……なぁ。


 何処にいるんだ?












『……お前、仲間と逸れたのか?』




 そう呟いて、倒れているオレの目の前で膝を突いた誰か。

 霞む視界の中見上げたそこを、魂を吸い取られてしまいそうなほどに艶やかな赤が支配していて。


 単純な言葉だけど、綺麗だと思った。




『……このままここで1人、野垂れ死にしたいか?
 それとも、お前はまだ、生きたいか?』




 オレの最期の時に囁いてくれた彼が、悪魔でも天使でもなんでもいいと思った。

 ただ、幻でも、誰かがそこにいてくれて、独りじゃないということが嬉しくて、
 悪戯めいたその微笑が何処か温かくて。


 気付けば、頷いていた。




『ならば、私と共においで。
 私はお前を放さない。独りになどさせない……永久に、共にいてあげよう。

 だからお前も………』





 私を独りにしないと、傍にいると…、

 約束しておくれ。





 そっと、血塗れなオレの体を抱き締めながら微笑んだあんた。

 だから、これが喩え夢の中だけの出来事だったとしても、
 最期に見た馬鹿な幻だったとしても、

 オレはずっとあんたを護ると決めた。

 あんたについていくと、決めたんだ。




 だのに………。








『――アル………オーギュスト…?!』







 あぁ……あんたは何処へ消えてしまったんだ?

 ずっと一緒にいると、あの時言ってくれたじゃないか。
 オレにも誓えと、言ったじゃないか。


 だから、永遠を共に生きると、オレは誓ったのに。










『――アルセスト………!!!!』










 それなのに、どうして何処にもいないんだ?

 どうして2人して……何も言わず、オレを置いていってしまったんだ?












『…哀れなブラックドッグよ……暫し夢の中でおやすみ。
 いつか………いつか、お前の愛した主達と逢える、その時まで……』












 ……なぁ、


 オレはいつまで眠ればいい?





 オレは、いつかまた、



 あんた達に逢うことはできるのか?












The Mortal Sin 12








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