The Mortal Sin
□The Mortal Sin 9
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いつも俺だけ何処か置いていかれてるような……
そんな疎外感を感じていた。
「オハヨー、アッシュ君」
「あ、おはようございますっ。スマ」
「おはよう…………ん。いい匂いだな」
「おはようございます、ユーリ。
今ちょうど、朝食できましたからっ」
「有難う」
「アリガトネ」
それは、俺に対する拒絶だとかそんなんじゃなくて、
気にしなきゃ、全然気にならないような、そんな些細なことで。
でもやっぱり、何処かで感じてしまうんだ。
「ユーリ、昨日もよく眠れなかったのかい?
目の周り……少し腫れているよ…」
「……………心配ないさ」
だって、どうしても俺は、
彼らと同じ場所になんか立てやしないから。
(…………気付けなかった)
一緒にいて、
一緒に暮らして、
一緒に仕事をして、
彼らのことを理解して、
彼らのことを少しずつ知っていっても、
やっぱり俺は、本当の意味では彼らのことを何にも知らないのだから。
でも2人は優しいから、俺のことを何等隔てなく、
そんな俺と『普通』に接してくれる。
けれど、俺にとってはその『普通』が、痛いほどに辛かった。
何にも知らない俺に、『普通』に接する度、『彼らだけの世界』が余計に遠く感じてしまうから。
所詮俺は、彼らのことなんて何にも解っちゃいないんだと…………逆に思い知らされているようで……………………
酷く、悲しかった。
だから少し、
「俺、今日ちょっと出掛けてきますね。夕方頃には帰りますんで」
「そっかぁ…。ウン、いってらっしゃい☆お土産ヨロシクねぇ〜」
「…めんどくさいっス」
「ケチ…………犬のクセに」
「犬じゃねぇっスよ」
「アッシュ、気をつけてな。
たまのオフなのだから、私たちに遠慮などせず、ゆっくりしてくるといい」
「………はい。行ってきます」
少しだけ…………考えさせて下さい。
俺が本当に、『ここ』に居ていいのかということを。
The Mortal Sin 9