The Mortal Sin

□The Mortal Sin 4
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 幼い頃……、

 スマイルと出逢うほんの少し前。



 毎日が至極楽しくて、幸福せだったと、

 毎日が温かかったと、



 そんな記憶が、ほんの微かだけれど、

 あるんだ。




(今まで、それはただの思い過ごしだと思っていた…)


(私には、確かな記憶なんて皆無だったから)








「私には……ユーリの記憶が、あるから…それで知っているだけなんだけど…」





 そう、静かに呟いて、ルリは私達に話して聴かせてくれた。



 私の過去を。

 赤い髪の彼との…………私の兄との、過去を。








 幸福せで、楽しくて、温かくて。

 それを思い返せば、至極懐かしく、心が和んで。
 それと同時に、涙が出そうなほどに愛おしくて。




(スマイルと一緒にいる時とは少し違う、幸福せ)




 あの時、誰かがいつも傍にいてくれた気がする。

 幸福せだった日々の中、いつも当たり前のように、傍にいてくれた誰か。




 ――そう。




 血を思わせる薔薇のような、赤髪の誰かが……。








The Mortal Sin 4





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