The Mortal Sin
□The Mortal Sin 2
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普段使っていない部屋は埃だらけで使えそうにないということから、突然の来訪者はスマイルの部屋へ運ばれ、今は彼のベッドの上だ。
未だベッドの上で苦しそうに顔を歪める彼を見下ろす。
苦しいのもその筈、彼は体を雷の衝撃と窓や床に打ち付けてしまっていた為、体中に痣が出来てしまっていた。
他にも、硝子片で切ってしまったらしい傷も幾つか見られた。
一応、手当はしてやったものの、痛みが完全に引くわけではない。
そして、びしょ濡れだった体も熱が奪われてしまわないようにと吹いてはやったが、きちんと拭えてやれてはいない。
(勝手に服を脱がせて、着替えさせるのは躊躇われたから)
雨水の所為で額に張り付いてしまった前髪を、タオルで拭ってやりながら払う。
ベッドの縁へ静かに腰を下ろし、拭えきれていなかった滴を拭うが、それ以上に何をしてやればいいのかわからない。
辛そうに歪めた顔に浮く汗を、雨の滴と一緒に、ただ拭ってやることしか、私にはできなかった。
「………お前は、一体……?」
片翼しかないものの、私と同じ蝙蝠羽。
食いしばる口許から時折覗く、鋭利な牙。
それらからして、この人物は自分と同じ吸血鬼であると考えるのが、妥当だろう。
ただ、自分が吸血鬼一族の末裔であると思っていたものだから、この人物の姿には正直驚いた。
だが、それ以上に驚愕したのは…。
「どっからどう見ても、ユーリと同じ顔だよね…」