Another Novel
□meteor swarm
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夜。
近頃は秋も深まり、夜風がだいぶ冷たくなってきた。
オレはそんな中、コウの部屋のクローゼットから引っ張り出してきた冬のアウターを着込んで夜空を見上げている。
今夜は、流星群が見えるんだって。
何の流星群かは忘れた。
でも、見たかった。
だから、オレは寒い中、ただひたすらに夜空を見上げていた。
meteor swarm
借りたアウターは(癪だけど)だいぶデカイから、体を殆ど包んでくれて結構あったかい。
首元も全部ジッパーを上げて、手はポケットに突っ込んで。
そうして見上げるのは、満天の星が輝く夜空。
ベランダの外へ背を向け、後ろ首をフェンスに預けて夜空を仰ぐ。
これが結構楽なんだ。
背中を預けるより、首(つか、後頭部?)を預けた方が楽に夜空を見上げられて。
「はぁー……」
ふと、溜息が零れた。
なんとなく。
「ぁー………ドコ見りゃいいんだ?」
コウにどの方角か訊いとくんだった。
あいつは今、酒やらなんやらを買いに近くのコンビニまで出ている。
マジでドコだ〜?なんて呟きながら視線を逸らした時、視界の端を幾筋かの光が流れていった。
(あっちかよ!)
それは全く見ていない方だった。
オレが見ていたのとは反対方向。
や ら れ た … !
オレは慌ててそっちに目を向けたけど、そううまく星は流れてくれなかった。