Another Novel
□pluie 〜fantoccini〜 5
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なにもかも、消えればいいと思っていた。
周りの総てのものも。
そして、自分自身も。
本当に、総て消えてしまえばいいと思っていた。
だって、何一つとしてオレのものなんてないのなら、なにもかも要らないと思っていたから。
総てが邪魔で、総てが無意味としか、思えなかったから。
でも……、
でも。
pluie 〜fantoccini〜 5
ザアァァァ……ッ…
相変わらず雨は止まず、窓の外では頻りに雨音が鳴り響いている。
もう、何日降り続いているのか忘れてしまった。
いつになったら止むんだろう。
まるで見当が付かない。
寧ろ、この雨は止むのだろうか…。
…ほんと……マジ欝陶しい…。
窓に向けていた視線を膝に載せていた本へ戻しながら溜息を吐く。
するとその途中で、同じソファーの反対側に黒髪の吸血鬼を見つけた。
少し前まではぴったりとオレの隣にいた奴だったが、今では少し離れた処にいる。
(………まぁ、当たり前…か)
(だって、オレが奴を拒絶したんだから…)
オレが横目で窺っている間、奴はずっと相変わらずの無表情で手にしたマグカップを見詰めていた。
……あの日から、3日経った。
オレが自分の左眼を抉り出した、あの日から。