Another Novel
□pluie 〜fantoccini〜 4
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ざぁざぁと、雨の音が聞こえる度に、
怒りを覚え、虚無を感じ。
ただ、総てが欝陶しくなる。
あぁ………総てが邪魔。
総てが不必要で、無意味。
こんな感情なんてなければ、
こんな感情なんて知らなければ、
オレはなんにも感じずに、ただ、存在していられた。
そう、何も感じずに。
何にも囚われず、何も感じずに、
ただの、朽ちた人形のように。
pluie 〜fantoccini〜 4
「―――っ……」
誰かの声が夢の中で聞こえ、
そして、微かに腕に違和感を覚えて目を覚ました。
すると。
「目が……覚めた、みたいだな」
突如、灰色の天井だけが見えていた視界に、見覚えのある顔が現れた。
暫く、理解できずにオレがその顔をぼーっと眺めていると、その顔を訝しそうに形のいい眉を寄せた。
「……………なに?もしかして……頭、打った?」
記憶喪失?なんて、相変わらずのんびりした口調で問うてくる黒髪の吸血鬼に、オレはまさかと少し掠れてしまった声で呟き、否定した。
そして、彼に預けたままの体を起こそうと、微かに身動いだその時。
「動く、な」
「いでっ」
ゴンッと、頭を思いきり殴られた。
お前………仮にもぶっ倒れた奴の頭を殴るか、普通!
しかも、……………ゲンコツで…!