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□似た者同士
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「随分とその魔女と仲がいいんだねぇ」
「あぁ。彼女は少々気難しい所もあるけれど、とても優しいんだ」
そう言って、極上の笑みを浮かべるユーリ。
ぼくは、へぇ…って笑い返したけれど、嫌な感情がふつふつと沸いてくることに気が付いて、慌てて頭を振った。
やめろやめろ。
なんだか、この気持ちは嫌だ。
よくは解らないけれど、嫌だ。
気持ち悪くなる。
「お前とも仲良くなってほしいのだが…」
「ユーリの友達なら、大歓迎さ」
ぼくが笑えば、君も笑う。
ぼくはこれで充分。
それ以上の何を望んでいるというんだろう…。
そうして森を歩き続けていると、ふと、少し開けた場所に建つ1軒の小さな家が目に付いた。
そして、その前には1人、白い服を着た女の子がしゃがんでいて。
「ロキ!」
ユーリが元気よく名前を呼べば、その子は一瞬ピクリと肩を揺らし、ばっとこちらを振り返った。
それはまるで、親を待っていた子供のよう。
傍らに留まっていた大きな烏が、ユーリを見つけて嬉しそうに跳ねている。
「……ユーリ」
小さくユーリの名前を呟いたその声は、まるで消え入ってしまうそうなほどにか細い。
だけど、流石は魔女の子。
なんか……なんて言ったらいいのか判らないけれど、それは確かに凛としていて魅力のある声だった。
(ユーリの方が断然綺麗だけど!)
容姿はと言えば、ユーリのように病的なほど真っ白な肌と、灰色の長い髪。
外見だけを見ればユーリと年端が似ているようだけれど、実際はユーリの方がずっと上だろう。
まぁ、ユーリは吸血鬼だものねぇ。
妖怪の中では最も、歳なんて全く関係ないからね。