The Mortal Sin

□The Mortal Sin 16
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 これはいったいなんだろう…。


 あの人から便りを貰い、暇を見つけて彼の住まう城を訪れてみたら。




「ゥ゙ー………ワン!ワンワン!!」




 エントランスの扉の前で、見覚えのある黒犬に唸られ、吠えられてしまった。
 首に紅いスカーフを巻いた其奴は、オレが少しでも動けば直ぐさま噛み付かんばかりの勢いだ。


 さて、どうしたものか。


 明らかな敵意を剥き出しにさせて睨むその犬と暫し睨み合っていると、徐にエントランスの巨大な扉が開き。




「この、馬鹿犬!何を騒いでいるんだ!」




 城から現れたアルセストは、未だに唸り声を上げていた黒犬(確か、ギーだ)の垂れていた尻尾を容赦なく踏み付けた。

 急所である尻尾を踏まれたギーは、自分を叱る主を泣きそうな目で見上げ、けれどオレにはやはり敵意剥き出しの赫い目を向けていて、表情をくるくるさせながら忙しなくオレとアルを見上げていた。


 何と言うか………アホだな、こいつ。


 オレは笑いを堪えるのに必死だった。




「全く…!さっきまではあんなに大人しくしていたというのに、なんなんだお前は。そんなにオーギュストが嫌いなのか?」

「ワン!」

「おー、いい返事だ」

「犬って煮込むと旨くなりましたっけ…」

「はは。オーギュスト、目が笑ってない」

「全く笑えませんから、この状況」




 城に入れて貰うや否や、憎たらしい黒犬に脚を噛まれた。
 しかも未だに人のことを威嚇し、歩くのさえ邪魔してくる。

 可愛く戯れ付くなら未だしも、爪で引っ掻いたり噛み付いたりしてくるからな、此奴。


 アルの前でなかったら殴ってやっているところだ…。




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