□Happy Halloween 2
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「おっフっローー!!」




 はい!今年は浴場で攻めてみようと思います!

 だってホラ、よく考えてみて!
 おフロって、どんなカッコで入る?

 裸、でしょっ?

 小学生の着衣泳じゃあるまいし、服着たままおフロに入るわけないでしょう?
 手にしてたって、せいぜいタオルとかそんなもんでしょ?

 流石に、浴場にまでお菓子を持ってくる人はいないでしょ!


 だから、今年こそは『お菓子なんていらないからイタズラさせて?作戦』!

 絶対に成功させてみせます!!





 そうして、意気込んでやってきました。
 お城の浴場。

 今はユーリがゆったりのんびりと湯舟に浸かっている時間です。

 ユーリはいつもこの時間におフロに入るんだよねぇ。
 夕食を終えて、作詞やらなんやらの一仕事してからのこの時間。
 上がった時間が、そろそろ就寝の時間でちょうどいいんだって。

 ちゃんと調べてますよ。
 今年こそは成功して、とっておきのイタズラを楽しみたいですからね!




「さぁーて……………そろそろ行きますかネ」




 ユーリの護衛なのか、扉の前を翔んでいた数匹の蝙蝠たちがぼくを見て不思議そうに小首を傾げている。
 そんな彼らにぼくは立てた人差し指を口に当て、「しー」と囁いた。

 そうすれば彼らは羽撃くのを止め、静かに天井へと留まった。

 それを見届け、傍らを漂っていた幽霊たちに静かに待っているよう伝える。

 そうして、ぼくはもう一度扉を見詰めた。




(……失礼ー)




 身体に意識を集中させ、世界の秩序から己を切り離す。
 すると身体は徐々に色素を、立体感を、そして身体という存在を消した。

 つまりは、消えた……………………透明になったということ。
 傍らにいた幽霊たちや蝙蝠たちにも見えず、気配さえも感じさせないほどに。




(悪いけど、本気出させてもらうからネ)




 ここまで来た気配は、たぶんユーリにはとうに知られてしまっているだろう。
 だけど、それ以上は教えてあげない。


 だって………、イタズラ開始だもの。



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