Another Novel
□rain
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「…………今夜……一緒に寝てもいい?」
雨音が気になって……嫌だから。
そう伝えるが、ボクは顔を上げられなかった。
だってボクは、結局はあいつじゃないから、もし断れでもしたらどうしたらいいかわからないし………怖かったから。
拒絶なんかされたら………………嫌だもの。
だから、ユーリの反応が怖くて顔を俯かせたままでいると、自分の体が微かに浮かんだ。
そうしてそのまま、優しい薔薇の香りにふわりと包まれて。
「最近の夜は冷えるからな。私も、お前と一緒に眠りたいよ」
だって、お前の体は温かいし、なんだか甘い香りもするから。
そう言って、ボクを抱き締めながら笑ったユーリ。
その笑った顔がひどく優しくて、温かくて……。
ボクはちょっとだけ泣きながら、ユーリの胸の中に顔を埋めた。
あぁ…大嫌いな雨が降っている。
だけど、ねぇ…。
もう少しだけ、このまま………降っていて?
「うーわ、なにソイツ。なんでぼくのユーリにベッタリ引っ付いてるワケぇ?」
しかも、寝てるし。
溜息混じりに吐き出せば、ユーリは苦笑しながらも膝に載せたちびの頭を撫でていた。
「お帰り、スマイル」
「………タダイマ…」
ぼくはちびっちょな奴を見下ろしながらもう一度溜息を吐いた。
なんとなく嫌な感じがして早く帰ってきてみたら、コレですか?
なんでコイツがユーリに膝枕してもらって気持ち良さそうに寝てるの?
しかも、なんでユーリもユーリでちょっと嬉しそうに笑ってんの?
「まぁ、いいじゃないか。まるで幼い子供のようで可愛いよ」
「全ッッ然、可愛くないヨ!!」
ユーリをラスに取られた……!!
その後、ユーリを再び独り占めできたのは2日後だなんて……………………………………………………ほんと、有り得ない!!
End...