Another Novel
□pluie 〜fantoccini〜 4
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「……………………………ぶッ」
「………」
「――ッ!あははっ。だからって…いくら、なんでも、これはない…だろっ」
オレは自分の左腕を見ながら思わず吹き出してしまった。
自分でも意外なほどに、ツボにハマってしまったらしい。
笑っても笑っても笑いは収まらず、腹が痛い。
そして、途切れ途切れに笑いながら喋るが、また腕を見てしまい、収まりかけていた笑いが再び込み上げてきてしまった。
だって、オレの腕に巻かれた布は、明らかに歪で。
どのくらいの量を巻いたかはわからないが、オレの左手首は見事に右の2倍くらいの太さになっていた。
可笑しいだろ、そりゃ。
どんだけ不器用なんだっつの。
「ははッ、っつー…腹いてぇ…っっ」
「……………煩いな」
「いでッ」
暫くオレが笑い続けていると、ふと何の前触れもなく吸血鬼は立ち上がった。
そのお陰で、奴の膝の上に頭を載せていたオレは、後頭部を床に直撃。
……っ。だから、お前………………ほんと容赦ねぇな……!
1度ならず2度までも受けた痛みは半端じゃなくて、オレは立てた膝の間に頭を挟み、打った後頭部を押さえた。
なんかオレ……脳細胞がこの数分の間に激しく減った気がする…。
そうでもなきゃ、ほら。
人形みたいに無表情なままのはずの吸血鬼が微笑んだ顔なんて……………………………
あ?ほほ…えんだ………?
「……………だから、なに………」
「…いや……」
ふと、目が合った奴の顔はやはり、無表情。