M短編2

□水葬
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うっすらと淡い光を放つシャンデリアが太陽のように見えて、何だかやけに眩しくなった。
視界の端には二本の腕。
人為的に波打つシーツがたゆたう水のようで、不思議な気分に陥った。
例えばこの白い箱が、二人を飼い殺す水槽ならば良い。
今は寝息をたてるロイドがやがて目覚めて、なんとなしに床に足をつく。
完全に足の裏を床につけた瞬間、息苦しさを感じてまた水槽に戻って。
拭いきれない違和感にたっぷり訝しめばいい。
そうして幾度も地に足をつくことを試みるうちに、無駄だと知って。
ついにはこの水槽から出ていくことを諦めてしまえばいい。
そしていずれは、空ばかり見上げていた視線を水底へ落として、初めて水底に立つ自身の存在に気が付くんだ。

優しいロイドはきっと、俺を棄てていくことは出来ないだろうから。

「愛してるんだ、ロイド」

常人には理解出来ないほど。

「おれ、も」

虚ろな彼の返答に少し驚いて。
見上げた天井に煌めく水面を見た気がした。


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