恋すてふ

□こころ
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散らばる硝子のように砕け散った心。
塵一つ漏らさず拾い集めたけれど。
望んだ笑顔は二度と垣間見ることは出来なかった。

世界再生が果たされ、衰退世界と繁栄世界は融合された。
支配と隷属に怯え苦しむ日々に終止符を打ち、繁栄と進化に恩恵を受ける日々に別れを告げた。
期待と不安が入り混じる住民たちに待ち受けていたのは、越えられない厚い差別の壁と相容れない二つの世界の意識。
誰一人、互いを理解しようとはしなかった。
蛮族と罵られた衰退世界の住民たちは、吐き所のない心理的苦痛を憎悪に変える。
それは何時しか全て一人の人間に向けられることとなった。

世界再生を果たした英雄―‥ロイド・アーヴィング。

その広いようで小さな背中で、一心に人々の賞賛と憎悪を受け止めた。
自分が選んだ道だからと、彼は何時だって凛としていた。

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