恋すてふ

□せめて
1ページ/2ページ


「ンマー、なんだかんだ言ってあいつらは仲良いなぁ」

そう言って、名物になりつつあるルッチとパウリーの口喧嘩を傍観するアイスバーグの言葉を、カクは曖昧な返事を繰り返しながら、その殆どを聞き流していた。


始まりは、本当にに些細な出来事だった気がする。
今となってはもうどうでも良いことだけれど。
カクは同僚であるパウリーに片思いというものをしている。

幸いパウリーとは同じドックだし、作業柄一緒になることもしばしばだった。
その度に挨拶と理由付けて彼のもとに赴く。
笑顔で迎え入れてくれるパウリーを見ると、「あぁ、好きじゃなぁ」と、改めて実感してしまう。

胸の内を告白出来なくても、パウリーを見ていられるだけで幸せだった。
けれど。
自分に利があるか無いかなんて、そんなものは彼らを見ていれば察することなど容易であった。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ