恋すてふ
□せめて
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「ンマー、なんだかんだ言ってあいつらは仲良いなぁ」
そう言って、名物になりつつあるルッチとパウリーの口喧嘩を傍観するアイスバーグの言葉を、カクは曖昧な返事を繰り返しながら、その殆どを聞き流していた。
始まりは、本当にに些細な出来事だった気がする。
今となってはもうどうでも良いことだけれど。
カクは同僚であるパウリーに片思いというものをしている。
幸いパウリーとは同じドックだし、作業柄一緒になることもしばしばだった。
その度に挨拶と理由付けて彼のもとに赴く。
笑顔で迎え入れてくれるパウリーを見ると、「あぁ、好きじゃなぁ」と、改めて実感してしまう。
胸の内を告白出来なくても、パウリーを見ていられるだけで幸せだった。
けれど。
自分に利があるか無いかなんて、そんなものは彼らを見ていれば察することなど容易であった。