M短編2

□あかい雨傘
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「付きっきりでって、俺を此処に置いてくれるんだ?優しいな、ご主人サマは」

「だってその様子じゃあ行くとこないんでしょ……って、ご、ご主人サマぁ?!」

再度動揺して声を荒げるが、入浴必需品一式を抱えたまま首を傾げていた。

「おう。だって俺を拾ってくれたんだから、ご主人サマだろ?」

ニッコリと人好きのする笑みを浮かべる少年にゼロスは肩を落とした。

「…あのね、俺様ゼロスってーの。だからせめてゼロスって呼んでね。…ご主人サマって何かイケナイことしてる気分になるから、ダメ」

「ふーん?」

解ったのか解っていないのか判断し難い反応だけを残して少年は浴室へ向かっていった。

「あ」

「?」

浴室のドアノブに手を掛け、体半分を廊下に出した状態の少年はゼロスを振り返る。
その様子にゼロスも思わず立ち止まった。

「俺、拾われたのがゼロスで良かった。優しいし。けど、覗かないでな、ご主人サマ?」

一言残し、今度こそ彼は浴室へ消えていった。

「…ひょっとして俺様、とんでもないもの拾った?」

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