恋すてふ

□レモン
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まだイセリアに居た頃、クラスの女の子たちが至極楽しそうに会話していた。
何の話をしているのかと問えば、彼女たちは自身の恋愛観について話しているのだそうで。
ロイドが会話の内容に面食らったのは言うまでもなく、次に驚いたのは幼なじみのコレットまでもが頬を赤らめて語っていたことだ。
その中で耳にしたのが口付け、要するにファーストキスの単語だ。
流石のロイドもそういった行為があることくらいは知識としては備えていた。

勿論実際にしたことはなかったが。
それがどんな具合か誰かに訊ける筈もなく、気になってはいたが流し流しできてしまっていた。

「‥事情は解った。だが、何故私なのだ」

「だ、だって‥」

そう問われ、ロイドは頬を赤らめて俯く。
リフィルは経験もあるだろうが如何せん女性だ、思春期のロイドが尋ねられる筈がないし、内容が内容なだけに頼める訳がない。
それは同年代とは言えコレットにも言えた。
同性同士ということでジーニアスの存在も思い浮かんだが、自分より幾つも年下の少年に尋ねるのはなけなしの自尊心が許さない。
そうして必然的に絞られていき、残ったのがクラトスだったのだ。

「‥そうか」

理由を聞いて再び何とも言えない心持ちになる。
消去法とは言え、最終的に自分に話を持ちかけてくれたことは喜ぶべきことだろう。
けれど。

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