恋すてふ

□こころ
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彼は、壊れてしまった。

何のために世界を統一したのだろうと、言葉を遺して。
彼は誰よりも強かった彼自身であることを辞めてしまった。
どれだけ名前を呼んでも、どれだけ肩を揺さぶっても、もうそれはロイドではないかのように。

「なぁ、ロイド」

もう一度笑って欲しくて、何度名前を呼んだだろうか。
どうしようもない自分を仕方なさそうに笑って、受け入れて欲しくて、何度肩を揺さぶっただろうか。

「‥俺様、どうしたら良いわけ‥?」

苦しげに問い掛けても、虚ろな瞳が応えるように揺れることはなかった。

散らばった破片を一つ残らず拾い集めて。
枯れ果てた涙の変わりにどれだけ血を流しても。
彼自身であることを辞めてしまった彼には、響かない。


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