恋すてふ

□嫉
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異世界という現実的でない世界に来てしまった。
やらなければならないことは沢山あるというのに。
息抜きに、と楽しめる筈もなかった。
どうしたものかと脳内で懸命に考えられ得る限りのことを模索する。
けれど、己が当然としている常識は間もなく覆されてしまう。
その瞬間から、自分の中に溢れる充分過ぎる知識たちはほぼ無力になった。

大切な紅髪の子どもー‥ルークは生まれて初めて見る世界に好奇心を擽られてい
たようだった。
年若い仲間たちも例外ではないようで。
さして考えることもなく訪れたばかりの世界を散策することにした。

程なくして出逢った人々。
彼らも概念的には異世界の住人ということになる。
この世界に留まる間だけの仲間、だと思えば馴れ合いも構わないだろうと思った。
沢山の人間に触れて、多々ある思想に触れることは、あの子どもに良い影響を齎すだろう、と。
腹の内で抱えた思惑通り、彼らはルークに良い影響を齎してくれた。

‥ーただ一人を除いては。

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