恋すてふ

□flashback
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ずぶり。

言葉にすればそんな感覚だったろう。
手に伝わる嫌な感覚に言葉を失った。
恐る恐る顔を上げれば、視界に入るのは口端から血を伝わせるゼロスの姿。
腹に埋もれた刃を伝う血がジワジワとグローブを染めていく。
ピチャリと指先に伝える布の重みがやけに非現実的だった。

刺した。
誰でもなく、俺が。

甲高い音を立てて彼の手から剣が零れ落ちた。
腹を貫かれたままズルズルと力無く崩れていく。
震える両手で、何とか受け止めた。
絶え絶えに呼吸をする彼に言葉を紡ぐことが出来ないでいる。
顔を蒼白に染める俺に、美しい笑みを浮かべた彼はそっと。

『裏切り者』

誰にも聞こえないように、俺だけに囁いた。

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