M短編2

□結局あなたとおれは
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どさり。

泣きじゃくるロイドがきょとんとする。
今の今まで抱き締めていたゼロスが真上にいるのだ、それも良い笑顔で。
時折赤い髪の先がさらりとロイドの頬を撫でた。
ふと表情を引き締めたゼロスが、ゆっくりと距離を縮めてくる。
何をするのか尋ねるのは野暮だ、肯定の意を込めてロイドが瞳を閉じた。

軽いリップ音ののち、ゼロスの顔を見遣ると彼は再び穏やかに笑っていた。

「ロイドが無事で良かったよ。本当に良かった」

「ゼロス…」

「それに」

言葉を途切れさせたゼロスに疑問符を浮かべながら、彼の次の行動を待つ。

「ゼロ…っ?!」

ぐいっと顎を持ち上げると、ゼロスは深く口付けた。
せっつくように絡められる舌先に息を乱しながら応えるロイドに気を良くして、ゼロスは口内を一舐めして唇を離した。

「…っ?」

「ロイドくんを押し倒すのにはなーんの支障もないから」

軽口とともにお道化てみせると、肩で息をするロイドは僅かながらに眉をひそめた。
クスリと笑んだゼロスは寄せられた眉間に唇を落とす。

「お前はそういう奴だよな…」

息を整えたロイドは彼を見やると呆れたように笑う。
そうしてまたどちらともなく唇を合わせた。

「ロイド」

「もっと良く確認させてくれよ。お前がもう大丈夫だって、俺に教えて欲しい」

引き寄せたゼロスの首に腕をまわして、甘えるように頬を摺り寄せる。

「仰せのままに、ハニー?」

軽いリップ音と布擦れの音。
絡められた両の指先にそっと熱が灯る。


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