R短編

□あかい雨傘12
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不安げに揺れる鳶色の瞳を見詰めながら、そっと息を吸う。

「学園に帰りな、ロイド」

「!」

ぜロスの思わぬ台詞に思い切りロイドの顔が歪められた。
途端、震えだした彼の手をそっと両の手で包み込む。

「別にお前を邪険にしてる訳じゃないぜ?…確かに親父さん達がやったことはヒデーわ。現実を受け入れらんなくて逃げたくもなるよな」

「……っ」

「けどな?ロイドを心配して堪らないって顔で押し掛けてきたお友達のことは汲んでやんな。彼奴らの為に戻ってやりなさい」

「けど…、おれ…っ」

ロイドが言葉を紡ぎかけたのを遮って強く抱き締める。
突然のことに驚いたのか、ロイドの動きはそのまま止まってしまった。

「俺様は此処に居るから。辛くなったらいつでもおいで」

「ぜロス…っ!」

「好きだぜ、ロイド」

「お、れも!俺も、ぜロスが好きだ…!」

自身より幾らか広い背中に両手回して。 しがみつくように距離を縮めると、それ以上に強く抱き込まれた。
そうしてぜロスに身体を預けたまま不意に上を向かされると、薄く色付いた唇がロイドのそれに重ねられた。


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