M短編2

□わたしの知らない世界
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澄み渡る青空とそよぐ風が心地良い日。
久々に宿に宿泊することになった一行は各々の時間を過ごすことにした。
荷物を置いたロイドは真っ先に剣術の稽古にと、出て行った。
それを追うようにコレットとゼロスが宿を後にする。
セイジ兄弟は買い物へ、寡黙な少女と青髪の紳士はゆったりと会話に花を咲かせていた。
あぶれた訳ではないが、なんとなく何処にも属さなかった自分は久々の暇を持て余してしまっている。
部屋に籠もるのも何だか勿体ない気がして、目的もないまま外へ出ることにしたのだった。
いざ外へ出てみれば宿屋の僅かな庭先で素振りを行うロイド、それを邪魔するように付き纏うゼロス、そして二人を微笑ましげに見ているコレットの姿を見つけた。

「コレット、あいつらがじゃれついてんのを見ていて楽しいのかい?」

コレットのあまりに楽しげな姿に思わず疑問を投げ掛ける。
振り返った少女は可愛らしい笑顔のまま、うんと答えた。

「そりゃ見ようによっちゃぁ楽しいかも知れないけど‥」

「うん。だってゼロスと居るロイドは絶対受けだなぁって」

「…はい?」

少女の口から飛び出した聞き慣れない単語に思わず聞き直す。

「ロイドって、クラトスさんと居た時もそうだけど絶対受けだと思うんだ」

ね?と同意を求める少女に何も答えられない。
このあとも無垢そうなコレットの口から延々と語られる未開拓の世界に、しいなは意識が白くなっていった。


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