M短編2

□結局あなたとおれは
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ゼロスが怪我をした。
原因は前線に飛び込んだロイドを庇った為だ。
草むらから飛び出してきたモンスターに驚き、尻餅をついたコレットの元に真っ先に駆け寄ったのは幼馴染みのロイドだった。
目の前のモンスターを直ぐ様斬り倒し、一息ついたのもつかの間、現れたのはモンスターは単体ではなく複数だったようだ。
素早い動きでロイドの背後に駆け寄るそれに仲間たちは反応が遅れてしまい、武器を構えられなかった。
ロイドもその一人で、今避ければ座り込んだままのコレットに標的が移ってしまう。
そう考え迷った末に、ロイドがしたことはギュッと両目を瞑ることだった。

「「「「ロイド!」」」」

仲間たちの叫び声のなか、痛みを覚悟したが、力んだロイドの体にはちっとも衝撃は訪れなかった。
何故かと思い恐る恐る目蓋を持ち上げると、まず捉えたものはぐったりと倒れ込むゼロスの姿だった。

「ゼ、ロス…?ゼロス!」

青ざめるロイドの横をすり抜け、プレセアとリーガルがモンスターに対応し、瞠目したリフィルが手当てを行う。
傷口けら絶えず流れ出る血に呼応するように、ロイドの震えが酷くなっていく。
そうして、回復魔法が追い付かないと微かに呟いたリフィルの表情を最後に、ロイドの意識は途切れた。

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