11/12の日記

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サバ2仮想SS プロローグ 〜神舞闘館〜
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 東の新日本女子プロレスと西のワールド女子プロレスが凌ぎを削る現在、これに続けとばかりにいくつかの新興団体が参戦しつつあった。
 まだまだ世間の認知も低いため、勇み足で経営に失敗し消えてゆく団体もあれば、社長の閃きに方向性を決め生き残る努力をする団体もある。
 そんな情勢にあって、古の武を伝えし武術の大家である神名鉄之介は、平和な世に消えゆくだろう真なる闘いの在り方を刻むべく、女子プロレス界へ一石を投じようとしていた。

 静岡県富士山麓某所、この地に神名流古闘術道場は戦国の世から居を構え続けていた。
 甲斐・武田家の奥の女衆へ武術を指南したとも云われ、真田・保科・霧隠といった武田に縁ある武家の血筋に神名の武技を伝えている。また、かつて敵対し死合にて凌ぎを削りあった草薙・柳生・神威とは良好な関係にあり、共に武を残そうと協力している。


「師匠、いよいよですね」
「………」
「いかがなさいましたか、大先生?」

 神名の御大の前に座る女性が二人。どちらも神名流門下の弟子である。
 一人は腰にまで届く長い黒髪を紐で一つに束ね、落ち着いた色合いのスーツを身に纏っている。名を山本沙霧という。
 もう一人も、艶やかな銀の髪を長く伸ばしており、妖艶な雰囲気と匂いたつような色気を引き立たせる服装も相まって目を奪われてしまう。名を鏡 明日香という。
 この二人は神名の御大の企みに乗り、命運を共にすると誓っていた。

「儂は……馬鹿者かもしれんのぅ。棺桶に片足突っ込んでおるようなたわけが、ようも大言を吠えたてておるものよな」

 苦笑しながらもどこか楽しそうな表情を見せる神名の御大。

「馬鹿でよいと思います。これは戦なれば。我らもまた、喜んで馬鹿になりましょう」
「そうですわね。黴臭い武といえど、ただの小娘だった私を魅了した武技を世に知らしめるのは大先生、いえ神名の務めですわ。それに」

 一度言葉区切り、同志二人に視線を走らせた鏡は悪戯っぽい笑顔を浮かべた。

「こんな楽しそうな事、なかなかありませんわ。ふふふふ、血塗れの泥臭い闘いで生温い舞台を彩って差し上げましょう」


 神名流古闘術道場がある山の麓に新たな闘争の出発点となる神舞闘館が生まれたのはまもなくであった。


「おやっさん、オレ、いってくるよ」
 敬愛する先輩――大将との約束を果たすため、坂口トレーナーの紹介状を持ち新天地を目指すオーガ朝比奈。

「外から新女打倒を達成するのも面白いかもね」
 クールな瞳が不敵な輝きを放ち、静かなる闘志を漲らせながら、神舞闘館の門戸を叩く南 利美。

「大先生の大望に私も一口乗らせていただきます」
 古の盟約から馳せ参じる保科の姫、保科優希。

「神名の戦か。面白い!」
 柳生の剣姫・柳生美冬が闘いの匂いを感じてやってくる。

 ――そして。
 欧州女子ブロレス界を震え上がらせた壊し屋が相棒の頼みを叶えるために現われる。
「(僚ちゃんのじいさんが無茶しないように見張んないとね)……ま、理沙子を裏切っちまうが、なるようになれさね」


 近く行なわれる新女とワールドの対抗戦を発端として巻き起こる大事件を彼女たちは知る由もない。

(続く?)


シリアスきつー!
ではでは。

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03:36
サバ2仮想SS プロローグ 〜RSA〜
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 東の新日本女子プロレスと西のワールド女子プロレスが凌ぎを削る現在、これに続けとばかりにいくつかの新興団体が参戦しつつあった。
 まだまだ世間の認知も低いため、勇み足で経営に失敗し消えてゆく団体もあれば、社長の閃きに方向性を決め生き残る努力をする団体もある。
 そんな迷走期にも関わらず冒険する出資者がいるところにはいるもので、彼――社 長行の人生の転機が強制的に訪れるのは仕方がないことだったのかもしれない。

 東京都渋谷区某所にある大手芸能プロダクションの社長室に呼び出されたのは敏腕と評判の高いマネージャーこと社 長行だった。

「社くん、きみの実績を見込んで頼みがあるのだが聞いてくれるかね?」
「なんでしょう」
「女子プロレス団体をプロデュースしてくれ」
「は?」
「うん。わかっとる。GGJとかいう失敗例があるしな。きみが躊躇するのもわかるんだ。だがね、私はきみならばやってくれると信じてるんだよ」
「いや、あの」
「社くん、エンターテナー的な華麗で楽しい、新たな市場の開拓はきみの手腕にかかっておる。頼むよ」
「(話きけよ、狸親父)……はぁ」
「おお! やってくれるかね。うむ。はっはっは。よかったよかった」
「まっ」
「安心したまえ。きみだけでは手に余るだろう。そこでだ、きみの仕事のパートナーを」
「失礼いたします」
「入りたまえ」
「井上!? なんで」
「ご無沙汰してるわね、社くん。いいえ、社社長と呼ぶべきかしら」

 反論しようにも話を聞いてくれない芸能プロダクション社長に命じられ、敏腕芸能マネージャー・社 長行と経営補佐役の井上霧子のドタバタ女子プロレス団体運営が今始まる?

 江戸川区中川河川敷近くにある某倉庫跡地に真新しく建てられた道場兼事務所を前に、社と井上はなんともいえない表情を浮かべていた。

「あの狸、用意万端じゃねぇか」
「本当。達の悪い冗談で済まないところが怖いわね」
「やるしかないよなぁ」
「そうねぇ」

 二人して盛大なため息をつく。
 だが、その後は二人して不敵に笑う。口元にニヤリ笑い。

「経営論は素人だからな。井上、ビシビシ鍛えてくれると助かる」
「ええ。貴方の宣伝術と売り込みは期待してるわ。一緒にあの狸の鼻をあかしてやりましょう」
「だな」

 やると決めれば突き進むのみ。この二人、いいコンビになりそうだとお互いに思っていたりする。

「選手もいねぇのに」
「それこそ、社長の腕の見せ所ですわ。ふふ」
「井上」
「やるからにはアレを目指す」

 社はスッと右腕を空に掲げ指で指す。

「クサイわ」
「そこはお約束だろー!」

 さてさて。
 ライジング・スター・エンジェルスの明日はどっちだ!?

(つづく?)


はっ? 毛色が違いすぎ。

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