小説

□ヒカリノソラ
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Third story:コワイコト




「眠たい」


朝起きる時、何かする時、全ての時、の、あたしのお決まりの言葉


今は朝起きたばっか、


ホントは、すっごく眠たくて、今からでも“二度寝”出来そう


でも何故か出来なかった、


“空との約束”、いや、“空への償い”、のせいだ、


「今日から真面目にやれ、か」


昨日は、彼女はあれを言った後、数分して帰った


あの空気じゃ、長くも居れない上に、話す事もない




『じゃぁ、また明日』




・・・っと、いつもの笑顔を見せて、帰った、




あたしが本当にやるのか、やらないのか、分からないのに、


笑顔と“また明日”だけ、あたしに残して、帰った


普通なら、“ちゃんとやってね”、とか、“約束だからね”、とか言うのに


彼女はそれを言わなかった、きっと、それは・・・・






“あたしが信用されてる”、てコト、だろう




会って間もないのに、信用するなんて、正直、“無防備過ぎる”


裏切られたら、どうするんだろう、


いや、彼女の事を考えるのはよそう、いくら学力あったって、疲れるだけ




_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _




今日はチャイムは鳴らなかった、


来る度いつも鳴るのに、


教室に入ると、誰もいない


いつもなら、生徒が急いで教室に入り、人の波が凄いのに、今はない


時間を見れば、時計の針は、“8時5分”を指していた


いつもは時計を見ない、だけど、こんなに早くは来ない


なぜなら、


あたしは約束をしてしまったから、


あたしは待つのが嫌い、


いつも来る時間は、授業の5分前の間


来たらすぐ始まる、だから楽だった


今は、その時間を、待っているみたいに、ただ座っている


窓から見る景色は、“建物だらけ”


いつも見ている人影すらない、


動いてるものは、部活の朝練をしている生徒だけ




“なんだか、つまんねぇ”




窓から見る景色は飽きないモノ、だけど、今は詰まらない、どうしても


この何もしない、ただ座っている時間が長すぎて、詰まらない




これが、よく人が言う、“時間の無駄”と言うのだろう






―ガラッ






ドアが軽く開く音がした


入ってきたのは、







「希望ちゃん、約束守ってくれたんだぁ」










―空だった






「・・・・約束は、守るもの、でしょ」


似合わない、似合わすぎる、


不良暦7年のこのあたしが、マジメちゃんが言う発言をするなんて


「希望ちゃん、やっぱり、良い子なんだね」


空が、笑った


鞄を自分の机に置くと、あたしの隣に椅子を持って来た


あたしの隣の席は、無い


人数が奇数だから、1人余る


あたしがいない間に“席変え”って言う奴をして、あたしの意思ナシに当たった席


くじとか、そんなんで余った席だと思うが、何だが隔離されてるみたいで、哀しい


「ねぇ、希望ちゃん、その髪、綺麗だね」


「・・・?」


「オレンジで、サラサラで、細い髪、いいな」


「空の黒髪も、綺麗だと、思うよ」


「有難う、希望ちゃんって、やっぱりうちの言った通りでしょ?」


「・・・?」


「つくってるでしょ、自分を」


「また、そんなハナシ?、これがあたしで、あたしの本来の姿で、別に変わりが無い、


つくってなんか、いない・・・」


「へぇ、そうなんだ、希望ちゃんの目はそんな事言ってないんだけどな、」




空、やめてほしい、何故そうやって、あたしを抉るの?


朝から、気分が悪い、“つくってる?”、何故そう・・・、、






考えるのも、辛い、やめよう、






『空ぁ、ちょっと』




あたしの目の前には、空以外の人がいた


それは、あの時話しかけてきた子、“係りどれにする?”なんて訊いて来た子、


「あ、希望ちゃん、あとでね」


空は、その子と教室の端に行ってしまった


それと同時にに、また、窓の外を見てしまった、


窓の外の“ソラ”を見ていた


_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _


チャイムが鳴った、


これは、ホームルーム、言わばの“学活”に入る前のチャイム、


ある意味、区切りのチャイム、これが鳴り終わったら、“遅刻”


先生が、入ってきた


教卓の前で何か話しかけてきてる、でも、興味ないから聞き流してる


興味のない話は、時間がとても長く感じる


2回目のチャイムが鳴る、これは授業5分前に入る前の合図


あたしは、今日までチャイムは朝2回鳴るなんて知らなかった


1時間目、黒板に“国語”と刻まれている


嫌い、授業は何もかも嫌い、


読むのなんざ、大嫌い、




なんか、気持ちが暗くなってきた、


あたしは机に伏した、


約束で学校に来たダケ、やる気なんて、無い、


「希望ちゃんー?」


空が、来た


椅子はあたしの隣に置いてあるまま、だった


「希望ちゃん、どうしたの?」


「・・・・・、別に」


お決まりの台詞が出た


答えるのが面倒なものは、皆こう言い返す


「ねぇ、希望ちゃん、」


「空、どうして、貴女はあたしを・・・、」


言葉が出ない、


何か言いたいのに、出ない、


「希望ちゃん、もちょっとさぁ、楽に考えたら?」


「は?」


「物事重く考えすぎよ〜」


「軽く、言わないでよ」


「そんなに自分を知って欲しくないの?」


あたしは答えなかった、


そう、あたしは自分を知って欲しくない、


知られるのが、怖い、自分でも分からないのに、


これが、“図星”


「うちは、自分を、知って欲しいかも、」


「・・・どうして?」



「自分から心開けば、相手も心開いてくれるから、」




そう言うと、彼女は行ってしまった、


空は、あたしに普通に接してくれてる、心も開いてくれてる、


あたしに分からないものを教えてくれる、


それで、あたしは?


どうしていいのか分からなくて、ただ、止まってるだけ、


あたしは、自分の意中で物事を話すだけ、口には出せない、








国語が嫌い、




それは、自分の考えを相手に知られるから、




あたしは自分で自分を知るのでさえ、怖いのか、




結局は、伏して、眠るだけ、


分からないものは、全て投げ出す、それが、今の“あたし”




To be Continue...
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