小説

□ヒカリノソラ
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Second Story:Reason






『何故泣くの、空』






「何故泣くの、空」


この部屋には、あたしの声と、彼女の鼻を引きずる音しか聞こえない


彼女が何故泣くのか、分からない


青い空が、何故雨を降らすのか、のように





今唯一分かるのは、“あたしが彼女を泣かせた”、コトだけ






「希望ちゃん、そんな事言ったら、皆寄り付かなくなっちゃうよ、


誰一人も、


家柄なんて、関係ない、


そんなの、イイワケにしか、ならない


あたし御節介で、迷惑かもしれない、でも・・・


希望ちゃんと仲良くなりたい、だけなの」




「・・・・・。」




そこまで、何故、あたしを構ってくれるの、




皆、あたしの事を、ほっといた


親も、クラスメートも、先生も、近所の人達皆、




「思ってるだけじゃ、何も伝わらない、何を考えてるのか、教えて」




空が、考えてる時に、叫んだ


あたしが考え事してる事も、この子にはお見通しらしい




「・・・皆あたしの事、ほっといた、


でも、慣れた、だから・・・」




「構うな、なの?」




空の言葉が、刺さった、


決して、どんな言葉も刺さらなかった、

あたしに、こんな言葉が刺さるなんて、




これが、“図星”、と言う奴か?




「・・・・・。」


答えられなかった


いつもなら、否定して終わる筈ななのに、


否定すら出来ない、


“そう”、とは、いつも言えない


否定ばっかしてきて、


それに長けて来たあたしには、同意の意のある言葉は、言えない





いや、言えない、多分


いままで、そうしてきたから…




「空、分かった、悪かったよ」




これが、この状況で1番合ってる言葉、


もう、この言葉しか、言い返せない


でも何故泣いたのかは、分からない


「じゃぁ、希望ちゃん、償ってもらうよ」




さっきまで下を向いてた空が、顔を上げた


涙で腫れた目がこちらを見ていた


“償う”、一体何を、


あたしは不審な目で彼女を見ていた


「希望ちゃんが、あんな酷い事を言うのは、許せない


だから、希望ちゃんには、償ってもらう」


さっきまで泣いてた顔も、いつの間にか笑ってた




何故あたしの発言に、あたしが償わなくちゃいけないの…―




「どう、しろと?」




「学校へちゃんと来て、勉強をする事!!!!!!」




「…はぁ?」


「今なら勉強間に合う、分からないところがあったら、教えるよ!!!」




「…何で、あたしが」


「“償い”、と思ってやってよ」





“償い”、あたしの発言には償わないが、彼女を泣かしたから、


そう思って、軽くやろう、とあたしは思った


本当はやりたくないが、彼女のハイテンションにはついて行けない上に、


次もまた言い返せないだろう、どうもあたしはこの子が苦手だ、


「じゃぁ、明日からは、早起きして、遅刻しないで来てよね」


「・・・・分かった」




あたしは面倒臭そうに、答えたcenter>








やっぱり、あたしは彼女が何故泣いたのか、


何故こうまでして、構うのか、


何もかも分からなかった


分かったのは、


“彼女があたしと仲良くなりたい”、


“明日からは寝坊は出来ない”、コト


やっぱり、面倒、償う気すら、消えそうだった


いや、鼻からなかった、


“リーズン”、って何、






「希望ちゃん、あたしが言ったことの意味、分かった?」


赤い顔を手で拭きながら、空は言った
「いや、分からない」




「多分、これから、分かるようになるよ」


この時、あたしは、“一生分からねぇ”、と


やっぱり否定していた

直る見込みもなく、否定してた




きっとこれからも、




To be Continue....
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