小説

□ヒカリノソラ
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First story:アオイソラ、シロイクモ






眠たい


いつも眠い


眠たくない日なんて、学校ない日のみ


朝っぱらから、センセイからの電話がかかってくるし


いつもダルイ日、


日常で唯一、どんな事あろうと、爽やかなのは、“空”のみ


学校では、“あたし”以外のもの全てが、爽やかな青い色をしていた





学校来ても、いつも机に蹲っていて、顔を上げても、空ばっか見てるあたしより、皆綺麗な色していた


別にその色1個、1個になりたいなんて、思わないけどね


あたしの机の横に、誰か来た


「すいません、今日中に係を決めなきゃいけないので、
  

どこか、好きな係を選んで」


“選んで”?、いきなりそれ言われて、出来る?


この子はきっと、センセイに言われて来たのか、委員会の仕事で来たのか、


その辺りだろう、どの道


「いいよ、何処でも余ったら、入れといて」








あたしは、その子を追い払うように、無愛想に言った


彼女は“そう、ですか”、と、困った顔をして、友達の所へ行った








彼女の友達がこっちをチロチロ見て、小声で話してた







話してる事なんて、お見通し、






こんな目立つ格好してちゃ、言われて当たり前だし、




ビビって大声ですら、彼女らは言えないでしょ



だけど、ムカついた


そういうの、馴れっ子だけど、ムカつく






そんな事思ってたら、


その友達の中から1人、あたしのトコへ来た


「ねぇ、××係に、一緒に入らない?


あたしも決まってないの」


友達の中からは止めるような発言も聞こえた、

でも彼女は気にもしなかった


「別に、いいけど」


そう言うと彼女は、大げさの様に
喜んだ、


何がそんなに、嬉しいのか分からない

彼女はあたしの前の席に座った、


「ねぇ、名前なんて言うの?


あたしは初代 空(ハツシロ ソラ)、


なんか、皆に“ショダイ”とか言われてるけど、“ハツシロ”だから、


よろしく!!」


勝手に机に自分の名前を書いては、めちゃくちゃハイテンション、


そう、これがあたしと“そいつ”、“初代 空”との2回目出会い


1回目は、いつだか、忘れた


「ねぇ、名前はぁ?」


呆けてるあたしに、名前を強請ってきた


服装だけじゃなく、名前まで、聞いてきたのは彼女が初めてだった





“相内 希望”、





何も言わず、机に書いた

これがあたしの名前、




「あいうち、きぼう?、」


「あいうち、ひかり、、」


「“希望”って書いて“ヒカリ”って読ませてるんだ、


すごい名前だね!!!」


あたしの名前を見て、空は、笑った、


あたしは自分の名前に、今まで別にどうも思ってなかった、


親がどんな意味で、この名前を付けたのすら、分からない


何故、こんなあたしに“キボウ”なんて、文字刻んだのだろう・・




「じゃぁ、希望ちゃん


あたしの事は“空”って呼び捨てにしちゃって、いいからね」


そう言うと、彼女は友達の方へ走っていった


友達にあたしの事を喋ってんのか、笑って話してた


あたしにとって、彼女は、彼女こそ“ヒカリ”に思えた、気がした


教室の中、何処の奴を見ても、空が一番輝いてた、


そんな気がした、


ほぼ初対面のあたしが言うコトじゃないけどね、


_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _


後ろから声を掛けられた、


「希望ちゃん、一緒に帰ろ!!!」


またもや、彼女


「別にいいけど」


「じゃぁ、希望ちゃんの家に行こう!!、いい?」


「別にいいけど」


「やった」


無駄な程のハイテンションのせいで、断る気もしなかった


家に友達が来るなんて、3年に1回あるか、いや、今までなかった


あたしに、友達居なかった


てか、小学校すら、まともに行っていなかった


「希望ちゃん、親、家にいるの?」


「……いない」


「へぇ、そうなんだ、


何時帰ってくるの?


仕事?それとも、出かけてるの?」


空は五月蝿い程まで質問してきた


あたしは“五月蝿い”…で済んでるけど、空は、どんな気で話してるんだろう


それに対して、あたしは、無愛想に返す事しか、出来ない‥‥


いつも、そうしてきたから、


「…着いたよ、此処、あたしの家」


「一軒家?、いいなぁ、あたしも一軒家住みたい」


空は、あたしの家をキョロキョロ、珍しいものを見る感じで見ていた


彼女を家に入れると、あたしは彼女をリビングで待たせて、


自分の部屋へ行った


あたしは、家で制服は嫌い


だから、帰ったらすぐに、着替える


降りてくると、空は、ベランダからの景色を見ていた


「……あ、希望ちゃん、勝手にごめんね」


「別にいいよ、」


あたしはリビングの、2人しちゃ大きすぎる程のテーブルの前にある椅子を引いた


「……どうぞ」


「有難う、」


空はベランダから入ってきて、ドアをしめて


パタパタと、小走りで来た


あたしは、お茶を2人分持って来て、座った


「……ねぇ、空、


何で、あたしなんかに構うの?」






「ほっとけば、いいのに」






「あ、空って呼んでくれるんだ、


嬉しいな、


あたしが希望ちゃんに構うのは、


希望ちゃん、ほら、いつも下向いてるじゃん?


なんか、“淋しい”って思ってない?、


“現実否定”してない?


希望ちゃん、絶対、誰かと仲良くなりたいって思ってるでしょ?」




「別に、それが理由?、じゃぁ、只の慈悲?」


「違うの、


希望ちゃん、絶対、いい子だと信じてるの」


言ってる事の意味が、分からなかった


こんなあたしがいい子?、何を根拠に?


「希望ちゃん、分かってないでしょ?


本当はいい子なのに、


悪い子に見せて、そういう格好してるんでしょ、
絶対そう、希望ちゃんは、照れ屋なんだよ」


「照れ屋?」


「いい子でいるのが、格好悪いって思ってない?、


あたしは、希望ちゃんの本質を見抜いたの、“あの時”から!!!」


「……“あの時”?」


「覚えてない?、入学式から1週間後、」




それは、彼女との本当の出会いの日だった


憶えてる、鮮明に…


「あの時からずーっと、思ってたの」


「…さっき、“親”について、聞いたよね、


あたしの親、母親のみなんだ

空、きっと、貴女はあたしよりも温室で育ったから、


そう言えるんだと思う、


あたしの事分からないのに、そんな勝手な事言わないでほしい」




「そう思うの?」




「じゃぁ、何なの?」


「あたしは、ただ、希望ちゃんと仲良くなりたいだけなのに・・」




空は、泣いた


彼女の目から雨のように、涙が流れた




あたしは、別に悪い事してない、のに


何で、彼女が泣くのか、分からなかった






















どうして、何だろう―






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