Short Story

□構ってちゃん
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『ねーねー』
「んー?」
『ねぇってばー』
「もう、なにっ?」



 読んでた雑誌から顔を上げれば、勝手にボールから出てきていたカルアがにっこり笑った。桃色のたてがみがふわりと揺れる。



『呼んだだけー』
「もう、何それ」



 嬉しそうに笑うカルアを少しだけ睨んでから、また雑誌に視線を落とした。そうすれば、また間髪入れずに始まるカルアの呼び掛け。今度は返事をしないで雑誌を読み続ける。



『ねぇねぇ』
「(何でこんなイタズラするのかな…前は困らせるような子じゃなかったのになぁ…)」
『ねぇってばー』
「(前…そういえば、前はもっと遊んであげてたっけなー。追いかけっことか…)」
『返事してようー』
「……………、カルア」
『なにっ?』
「遊ぼっか!」



 ぱあっと明るくなるカルアの顔を見て、私は雑誌を投げ捨てて走り出した。




こっちを見てよ!
(ボクたちはキミが大好きなんだ!)



#090521 aruku


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