Short Story
□無言実行
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守りたい。
前はそんなこと思わなかったのに、今は本気でそう思える。
昔はお互いに無鉄砲で、危ないことに飛び込んではその度にどっちかが傷付いていたけど。
歩く度に上下する頭は、今やもう、俺の眼下にある。
『…ちっせー』
「えっ?」
『お前ちっさくなってないか?』
「なっなにそれ!」
『だって、前はもっとデカかったろ』
そう言えば、コイツはきょとんとしてから笑った。
「それはフレイがでっかくなったんだよー」
このぐらいだったもんね、と言われてコイツの手が膝に下がる。
確かにそれぐらいの高さから見上げてたかな、と思えば、また笑われた。
「フレイは、ちょっと早くおっきくなりすぎたね」
そう言われて、背伸びをしたコイツに頭を撫でられる。
『バッ…何してんだバカ!』
「バッバカ!?フレイひど!撫でただけじゃん!」
『チビのくせに無理してんじゃねーよ!』
「今度はチビ!?もう怒った絶対許さない!」
げしっと膝を蹴られて、そっぽを向かれた。バタバタと走って逃げていくアイツの背中が、やけにいとおしく感じて笑った。
守ってやる、なんて言わねぇけど。
(言わない分、態度で示してやるよ、って、な)
20090404