Short Story

□「サヨナラ」
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 ごめんね、なんて聞きたくなかったのに。それでも、優しい…それでいてずるい貴方は、ずっと謝るんでしょう?そんな言葉で私を解放したつもりになって、自分が責任感から解放されてるんでしょう?


「ごめん」
「もう、いいから」


 赦した気になって笑うことがどれだけ辛いことか、貴方は知ってるの?

 ねぇ、だから。


「──ごめん」


 謝らないでって言ってるのに。もううんざりなの。どれだけ私に現実を押し付ければ、気が済むの?ズタズタに引き裂かれそうな──或いは、もう引き裂かれてしまった──私は、貴方から離れたくないのに。私が貴方から離れない限り、貴方は謝り続ける。


「(本当にバカだわ)」


 最後まで優しくするなんて。突き放すなら、最初から酷いことを言ってくれればいいのに。そうすれば、貴方と別れてから、めいっぱい愚痴を漏らせるのに。フラレた私が泣けないなんて、いったいどういうこと?


「サヨナラ」

(貴方のその優しさが私を傷つけるのよ)
(なんて)
(ドラマみたいな言葉)


20081223 aruku


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