□聖夜の奇跡
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「メリークリスマス!!」
 
「うわっ、景時。それはなんだ!!けたたましい音がして何か出て来たぞ!!」
 
「あぁ、これ?この世界にはお祝い事とかで使う"クラッカー"って物があるって譲君から聞いてね。陰陽術で真似てみたのさ」
 
「…"くらっかぁ"?なんだそれは。戦でも始まったのかと思っただろう。」
 

 
―今日はクリスマス。
異世界へと帰る方法を探す仲間達に「せっかく僕達の世界に来たんですから、今日くらいはクリスマスパーティでもして一息つきましょう」と、譲からの提案で皆が束の間の休息を味わっていた。
 
 
「譲殿、洗い物を手伝ってもらってもいいかしら?」
「はい、朔さん。今行きます」
 
 
「皆、すごく楽しそうだったわね。これも譲殿のおかげだわ」

「いえ。俺も皆の世界に居た時は皆に良くしてもらいましたし、せっかくですから俺達の世界で楽しい思い出を作って欲しかったんです。皆も喜んでくれたから良かった」
 
パーティも終わり、キッチンで朔と譲が洗い物をしている頃、仲間達は思い思いの時間を過ごしていた。
リビングでは、景時と望美が片付けをしているのを余所に、将臣、九郎、ヒノエ、弁慶が人生ゲームをやっており、庭ではリズヴァーンと敦盛がこの世界で起きた異変と茶吉尼天との関連性について語り、白龍はこの地を流れる5行の力を感じ取っていた。
 
「望美から聞いたのだけれど、この世界には沢山の催し事があるそうね」
 
「そうですね。皆の世界でもあったけど、もうすぐ正月だし、女性が男性にチョコレートを贈るバレンタイン、そのお返しに男性がキャンディーを贈るホワイトデーや、ポッキーの日だったり、なんでもこじつけて催し事を作っているからキリがないですよ」
 
朔が洗った食器を布巾で譲が丁寧に拭いて食器棚に戻していく。
譲はさっきからチラチラとリビングの方を見て望美と景時の様子を気にしているようだった
 
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