麗しき幻想曲
□02:其れは偶然でなく必然
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「ヤバ、お母さんに連絡いれてない」
02:其れは偶然でなく必然
友香の時計は長針が12、短針が7、つまり7時を示していた。
空は真っ暗。
秋から冬に向かっているか空気は冷たく、日が落ちるのも早くなっていた。
電車の乗り換えに失敗し、一本電車を見送っての帰宅、何せ30分間隔で動いているのだから待ち時間も当然30分待った。
現代文化の産物と言えよう携帯電話はもちろん彼女も持っているのだが、残念だから充電切れ。
「こういうとき、使い物にならない!!」
なんてぼやいても携帯は充電できないのでとにかく足を動かすことに集中する。
今は駅から自宅へと足を進めている。
人通りの少ない道を行くのは嫌いではないが、少々不気味。
「あぁ、ぜったい何か言われる〜。今日遅くなるって言ってなかったし・・・
お母さんの小言はもう聞きたくないのに〜」
先の角を左に曲がればようやく家に・・・
のはずなんだけれど・・・・
はい?
ここはどこでしょう?
何で木が広がっているの。。
「なになに、罰ゲーム?いや、そんなわけないし。家が吹っ飛んだってのもありえない。。ホントにどこよ」
辺りには木・木・木。
人は木がたくさんある場所を林、あるいは森と呼ぶ。
今、友香はその真ん中に立っていた。