歴史

□返す宛のない手紙
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僕は この国が好きです


だから
夷敵なんかに 渡すまいと

この国を守るためなら 何も惜しむ事などない

この手を 血塗れたものにしようとも


そう皆で誓い合う中


決してあなたは
その白刃を振るうことはありませんでしたね




皆が 闇に命を投げ捨てゆくなかも


決してあなたは背を向け 振り向くことはなかった




腰抜け 所詮あんなものかと 後ろ指指されようとも


決してあなたは 立ち止まったりなんかしませんでした








きっとあなたには もう

この国の行く末が 見えていたのでしょう


これ以上 失うものがないよう

大切なものを繋ぎ止めるものは何かを


大切なものは 何かということを



あなたはもう 知っていたのでしょう



今更 この白い布団に横たわる中 思い知りました


今 この命が消えゆくのも 当然の報いだと思っています





あなたは 決して逃げてなんかいなかった




みんなに 伝えておきますね

久坂にも入江にも 栄太や来原さんにも



松陰先生にも



桂さんは こんなにも頑張っているんだと

誰より泣き虫なくせに

傷つかなかったはずないのに

僕はなにも 解っちゃいませんでした






きっとみんなも 解ってくれます

辛くても きっと側には
寄り添ってくれる人がいるから


決して もう一人じゃないから












それでも 寂しくなったら


少しだけでいいから

僕を思い出してください



側へは行けませんが

あの空から いつだって見守っています





ね、もう一人じゃないでしょう










色々 恥ずかしい事を書いてしまいました

他の奴らに読まれるのはまっぴらごめんですからね



出来たら この文は読み終わったら燃やしてください





最後の最後まで 我が儘ばかりいってすいません



いつだって優しくて

困ったように笑う桂さんが


どうしようもなく 大好きでした



ありがとう




高杉 晋作





*************


「ははっ… 言いたい、放題…っ だな…」


ちらほらと 桜の花弁
が舞う庭先の中

零れ落ちる涙で 所々滲んだ
これ以上にない長さの文を ぐしゃりと握り締める


「全く…、 おま、えには… 叶わ、ないよっ…」

眉を八の字に下げ ニコリと笑った


涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で

桂は笑った















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