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内緒の特訓
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少し歩き出したとき、前を歩いていた田島が突然振り返った。

そして真剣な顔で聞いた。

「なぁ…フェラってしたことある?」

田島の言葉に泉はビックリして思わず後ずさってしまった。

「なんでそんなこと聞くんだよ…」

泉は照れ臭くなってうつ向いて地面の小石を蹴った。
「フェラってなに…?」

三橋はキョトンとした顔で田島の顔を見た。

兄弟のいない三橋にとって性の知識は友人からしか得られない。けれど自分から話の輪には入れない。

三橋は今までそんな言葉を聞いたことがなかった。

田島は得意気に三橋に教えた。

けれど田島の説明は直接的過ぎて三橋は終始顔を真っ赤にさせていた。

「で、三橋は阿部にしたことないの?」

三橋はさらに顔を赤くして首を横に振って否定した。
田島は「なんだぁ」と残念そうな声を上げて泉顔を見た。

「ねぇよ」

泉はぶっきらぼうに答えるとすたすたと先を歩き出した。

以前浜田にしてほしいと言われたが、恥ずかしさで出来なかった。浜田はそのことで泉を攻めたりしなかったが泉の中は罪悪感で一杯だった。

「俺もしたことねぇしなぁ…誰か教えてくんねぇかな?」

田島は空を見上げて呟いた。

「なんでそんなこと知りたいんだよ?」

泉が後ろから声をかけると田島は空を見上げたまま答えた。

「この前さ…花井にフェラしたんだよ。でもさ…あんまし気持ち良くなかったみたいで、すぐに止めさせられたんだ。俺は花井にされるとすぐイキそうになるのに…。俺も花井をメロメロにしたい!!」

田島の声は澄んだ青い空に吸い込まれるようにして消えて言った。

田島の言いたいことが痛いほどわかる二人は何も言わずに隣を歩いた。

みんな、今の不安定な状態に怯えていた。
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