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□BABY☆BABY CRASH!!
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保健室のベッドで静かに呼吸をしている田島を見て、花井はホッとした。
軽くユニホームの上から心臓の辺りに手のひらをおくと、規則正しい鼓動が伝わってくる。
安心した…。
花井が感じていた嫌な予感とはこのことだったのだろう。
もう心配することはない。
養護教諭からも軽い脳震盪で大事にはいたらないと言われ、胸を撫で下ろした。
念のため病院へは花井自らが付き添って行くつもりだ。
花井がここまで田島のことを心配するのは部員だからという訳ではない。
それ以上に田島のことを想っているからだと最近になってようやく気がついた。
中学時代から野球一筋だった花井にとって恋愛は因数分解よりもはるかに難しい。
駆け引きなど分からないし、押していいのか引いていいのか、ずっとその場で足踏みしている状態だ。
ただ田島の回りが太陽の光のようにキラキラと輝いて見え、そこからは坂を転がるように惹かれていった。
大切に、大事に見守ってきたつもりだ。
それがこんなことになるなんて予想外だった。
直接的な原因は三橋の投げたボールだが、三橋の暴投の原因は阿部にあるはずなのに阿部は反省する様子もなく練習を続けていた。
なんだか腑に落ちない。
花井が阿部に怒りを覚えたころベッドに寝ていた田島が目を覚ました。