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恋愛模様
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「阿部くん…。俺の…こ…と好き…じゃ…ないっ」と鳴咽混じりにしゃべり出した。田島はとりあえず三橋の荷物を鞄に突っ込むと部室から追い出した。まだ部室に残っていた泉や花井達は何が何だかわからないまま出て行く二人を見つめていた。田島は泣きながら歩く三橋の右手を掴むと、いつもの公園のベンチに座らせて自分はコンビニに飲み物を買って来るとだけ言って走って行ってしまった。一人取り残された三橋は泣きながら田島が来るのを待った。九月を過ぎたばかりの夕方はまだ明るいうえに暑い。蝉の鳴き声も聞こえ来る。一人ぼっちの公園は時間が経つのが遅く、一人でいると余計なことを考えてしまって涙が止まらなくなってしまう。三橋がうじうじ泣いていると田島がコンビニから戻って来た。
買ってきたばかりの冷たいジュースを三橋の頬に押し付けた。三橋は「ヒャァツ」と声を上げ目をクルクルさせて驚いた。
「泣き止んだ?」
田島はニコッと笑いながら三橋の隣りに座った。「うん…。泣き…止んだ…よっ」涙を素手で拭きながらなんとか笑って見せた。田島はこの三橋を見たら阿部だって三橋を好きになるんじゃないかと思うのだが世の中上手くいかない。
「でも阿部は三橋が思っるほど三橋のこと嫌いじゃないと思うけど?」
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