捧げ物

君には勝てない
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「阿部くん…取ってぇ…」

三橋は涙で滲む瞳で阿部に訊ねた。

阿部は三橋の質問を無視すると、ニヤニヤと薄笑いを浮かべながら、三橋の少し前を歩いていた。

学校を出てから10分程歩いたところで、三橋がうずくまったまま動かなくなった。
道路にペタンと座り込み泣き出してしまった。

その行動があまりにも可愛くて、阿部はますます苛めたくなってしまう。

「三橋は何を取って欲しいの?」

分かっているくせに、阿部は三橋を見下ろすような形で訊いた。

「あッ…ん…ブルブルするやつ…もぉ取ってぇ…。」

泣きながら哀願する姿はさらに、阿部の身体を熱くする。

「まだダメ」

阿部の答えに、三橋はさらに大きな瞳から涙を溢れさせた。

「花井くんに…ちゃんと言えたら…取ってくれるって…言ったのに…ヒクッ…」
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