過去の拍手お礼小説
□拍手お礼小説18
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誰かに保健室に連れていかれ、すぐにタクシーで病院に向かった。
車内で流れていく景色を見ていたら、ようやく左腕が心臓の鼓動に合わせるように痛みだした。
出血は止まらず、保健室で巻いてもらった白い包帯を血の色に染めていく。
一緒にタクシーに乗っていた養護教諭が腕を心臓より高く上げろと言ってきたので、俺は何も考えずに腕を上げた。
ふいに元希さんの笑い声が聞こえた気がした。
30分ほど待合室で待ち、治療を受けた。
縫うほどではないと言われたが傷口は赤い中身を見せていた。
気持ち悪い…。
昼間半分食べた弁当の中身が消化されずにそのまま口から出てきそうだった。
痛み止を処方され、俺はそのまま帰宅することになった。
家の近くでタクシーを降り、カバンの中からケータイを出すと、花井からメールが来ていた。
俺の怪我のことはすぐに広まり、何故か骨折したことになっていたらしい。
噂とは尾ひれがつくものだ。
俺は簡単に事情を説明した。
きっと三橋は泣いているだろう。
そんなこと考えながら俺は家とは逆方向へ歩きだした。
血を見ると元希さんを思い出す。
たぶんそれは初めて元希さんに抱かれたあの日の出来事が原因だと思う。
「痛い…元希さん…痛い」
シニア時代の俺は元希さんに逆らうことが出来なかった。
それは恐怖心からだと思っていたが今考えると少し違うかもしれない。
尊敬はしていた。
けれどそれ以上に憎しみも抱いていた。
それなのに初めて元希さんの部屋に呼ばれた時、嬉しかった。
自分のことを認めてくれたんだと思った。
しかしあの日の俺に待っていたのは最高の裏切りだった。
無理やりベッドに押し倒され着ていたTシャツを奪い取られた。
履いていたズボンは下着と一緒に脱がされて、ベッドの下に放り込まれた。
「元希さん…やめ…」
精一杯の抵抗をしたが体格の違いに簡単に抑えつけられた。
両足を持ち上げられ、ヌルヌルとした液体が肛門に塗られた。あの頃はそれが潤滑油だという知識はなかった。
ただその気持ち悪さに身体を震わせていた。