過去の拍手お礼小説

拍手お礼小説17
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さっきまで子供のように泣いていたくせに…。

いつの間にか男っぽい表情を見せた大地に市原は戸惑いを隠せない。

前回、大地から誘われてあと一歩というところまで来たのに結局怖じ気づいて何も出来なかったことを市原は後悔していた。


市原は普段はクールで我が儘なイメージだが意外と気は小さいし、うじうじと考えこんでしまうタイプなだけにひどく悩んだ。

それに、あの日以来、何も求めてこなくなった大地にも不安を募らせていた。

今までなら部員たちの隙を狙ってキスをしてきたり、帰り道で手を繋いでこようとしたのにそれがぴたりとなくなったのだ。

市原はいつも恥ずかしさや照れ隠しで嫌がっていたが本当は嫌ではなかった。
むしろ求められていると全身で大好きだと大地から言われているようで嬉しかった。

それなのに…。

やっぱり何もさせない恋人など要らなくなったのかもしれない。

大地は女の子からモテる。
背も高いし、顔も悪くない。性格も優しい。 そして野球も上手い。

彼氏にするなら申し分ない。
そんな男を女の子たちが放っておく訳がない。

大地をとられたくない…。
市原の嫉妬心に火がついたと同時に不安にもなった。
いつか大地を誰かにとられるのではないか…。

優しくて柔らかな可愛い女の子から告白されたら誰だって男の自分よりそっちがいいに決まっている。

だからといって身体を使って引き留めるのは少々不本意だが今の自分に出来ることはこれくらいしかない。
市原はゆっくりとYシャツのボタンに手をかけて一つずつ外していった。

大地に見られていることで緊張しているのか、自分から脱ぐことで緊張しているのか分からなかったが、全身が心臓になってしまった様に鼓動は早く煩いくらいに鳴っていた。

「キレイです…。イッチャン先輩…」

Yシャツがはだけて胸元が見える。小さな可愛い乳首や、きゅっとくびれた腰回りが目に飛び込んできて思わず口走った大地だったが必死になっている市原には聞こえていないようだった。

時間をかけてボタンを外し、続いてベルトに手をかけた。
しかし、焦りと緊張で上手く外せない。

そんな市原を見ていた大地はすっと市原の膝の裏に手をかけ、そしてもう片方の手を背中に回すと、お姫様だっこのような横抱きにしてベッドの上に下ろした。
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