長編連載

君の笑顔を守りたい
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「泉、起きて。今日から学校だよ」

俺は隣で寝ている泉の肩を軽く揺さぶった。

「ん…」

小さく呻くような声を上げて、泉は大きく伸びと欠伸をしながらベッドから起き上がった。

「おはよ。朝ごはん出来てるよ」

俺は泉と登校出来ることにテンションが上がって、いつもギリギリまで寝てるのに今日はかなり早く目が覚めてしまった。

目覚ましより早く目が覚めるなんて、小学校の遠足以来だ。

「いただきます」

泉はテーブルに並んだおかずをパクパクと口に運ぶ。
入院中はほとんど食事が出来なくて、点滴で栄養をとっていた。

あの頃がとても遠くに感じる。

二人で朝ごはんを食べるのは初めてじゃないのに、妙に照れ臭くて、俺たちは無言で食べた。

朝食が食べ終わると、泉は3ヶ月振りに教科書をカバンに入れた。

「今日から学校に行くこと花井たちは知ってるの?」
教科書をパラパラとめくっている泉に俺が聞くと泉は、教科書を見たまま首を横に振った。

「担任にはお袋が話したけど、野球部には言ってない」

泉は泣くわけでも怒るわけでもない、本当の無表情といった顔で答えた。

学校までの道のり、やっぱり緊張している様子の泉に、俺は色々な話をしたが泉は終始上の空だった。
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