長編連載

腐愛の檻1
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「試合に勝つって、気持ちいいよな?」

誰もいない部室で、阿部は着替え途中の三橋の目を鋭く見つめると、有無を言わせぬ声音で問うた。
三橋はそんな阿部に圧倒され、半分勢いで頷いていた。

「これからも勝ちたいよな?」

中学時代、全く勝ったことのなかった三橋にとって、三星学園との試合で勝利を手に入れたことは、この上ないほどの喜びだった。
阿部の考える配球は、三橋の遅い球も豪速球のような威力を持ち、相手を打ち取っていく。

「勝ち…たい!!」

三橋は珍しく大声を出していた。

『阿部くんといたら勝てる』その思いが、三橋に自信を与えているのかもしれない。

阿部はニンマリと笑うと、三橋の背後に回った。いつもと違う阿部の行動に戸惑いを隠せない。

「阿部くん…?」

阿部はおどおどと狼狽える三橋のYシャツのボタンを外しにかかった。

「や…あ…阿部くん…!!」


三橋は、これから阿部が何をしてくるの検討もつかない。

どうしたの…阿部くん…。

阿部の鋭い眼差しは三橋の背中をジリジリと焼くようで、抵抗は出来なかった。
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